今あるこの課題は、画像認識AIで解決できますか?~製造業編~
実際によくある課題と、それに対して画像認識AIがどのように解決できるかを具体的に示します。

1.生産性の課題
生産性の課題は非常に多岐にわたり、単なる作業スピードだけでなく、「ムダ・ムラ・ムリ(3M)」の排除、設備や人の稼働率、工程設計の最適化なども含まれます。以下に、よくいただくご相談から分類・整理した例を挙げていきます。
●ラインの稼働率が低い
●工程間の待機やボトルネックが発生している
●作業の属人化、作業員によるばらつき
●不良発生による手戻り・再作業
●現場データの未活用
●製造リードタイムが長い
より具体例としては、以下のような課題・原因が挙げられるでしょう。
・生産スケジュールの最適化ができていない(機器の稼働とメンテナンスのタイミング、人員スケジュールや配置など)
・工程間の人員・機材バランスが悪い(前工程が早く終わっても次工程が準備中で滞るなど)
・ベテラン作業員しかできない工程がある、または作業員の経験値により品質のばらつきが発生
・品質検査時の判定のばらつき、工程内不良や後工程でのNG発見により再加工が発生
・作業の自動化・省力化が進んでいない(人の目や手に依存する工程が多い)
・突発的なトラブルや段取り替えによる停止時間が多い
・作業実績や稼働データは紙やExcelで記録されるが、分析されない
上記の課題の中で、人の目や手や暗黙知に依存していることが原因の場合や機器を監視・予測することで予防できる課題には、画像認識AIの活用が効果的である可能性が非常に高いです。
課題1の解決例とは
◎ベテラン作業員しかできない工程がある、または作業員の経験値により品質のばらつきが発生
解決例:カメラで作業員の動作をリアルタイムで分析し、正しい手順かどうかをチェック
◎品質検査時の判定のばらつき、工程内不良や後工程でのNG発見により再加工が発生
解決例:AIが製品の外観をリアルタイムで撮影・判定し、キズ、変形、異物混入などを自動検出
◎作業の自動化・省力化が進んでいない(人の目や手に依存する工程が多い)
解決例:原材料受入時に異常な色、形、混入物などがないかを検知
印字内容や貼付位置を画像認識で自動検査し、不備があれば停止や別ラインへ流す
◎突発的なトラブルや段取り替えによる停止時間が多い
解決例:機器のメーターやセンサーを監視、不調やトラブルを予測してアラートを出す
◎作業実績や稼働データは紙やExcelで記録されるが、分析されない
解決例:印刷や手書きデータをOCRで読み取りデジタル化を行い、グラフ化したデータや画像データなどから、特徴や差異を判定し分析
2.品質の課題
製造業における「品質」に関する課題は、製品の一貫性・正確性・信頼性を維持することに直結しており、顧客満足度や企業の信頼性にも大きく影響します。以下に、品質に関してご相談の多い具体的な課題を示します。
●検査の精度や判断が作業者によって異なる(属人化)
●工程内で不良が見つからず後工程で発覚(手戻り)
●過剰品質(検査や加工のしすぎ)でコストがかさむ
●作業ミス・手順違反が原因の品質低下
それらの課題では、以下のような具体的な内容、原因などがあります。
・明確な検査基準やトレーニングが不足
・視覚や感覚に頼る目視検査中心の体制
・熟練者の退職により判断力が継承されていない
・工程内での検査が簡易的・不十分
・画像や映像の記録が残っていない
・明確な品質基準がなく、安全側に倒しすぎている
・作業負荷や人手不足による焦り・ミス
これらの品質に関わる課題の多くは、検査基準のあいまいさや人の目や手や暗黙知に依存していることが原因であるため、画像認識AIが非常に有効に働くことが考えられます。
課題2の解決例とは
◎明確な検査基準やトレーニングが不足
解決例
・AIに正常品・不良品の画像を大量に学習させて基準を定義
・AIが同じ条件で一貫して判定することで、ばらつきを排除
・検査員の教育にも活用可能(AI判定と比較して学習)
◎視覚や感覚に頼る目視検査中心の体制
解決例
・高解像度カメラで画像を取得し、AIが微小な欠陥(傷・異物・ムラなど)を自動検出
・画像認識AIであれば、人員スケジュールや疲労・体調などに左右されずに判定可能
◎熟練者の退職により判断力が継承されていない
・熟練工の検査判断をもとにAIを学習させ、ノウハウをAIに継承
・経験の浅い作業者でも、AIが判断を支援することで品質を維持
◎工程内での検査が簡易的・不十分
・工程内のカメラによる自動外観検査を導入し、即時に不良を検出
・不良品は自動で排出またはフラグ付けして、後工程への流出を防止
品質の課題への解決例はすでに多くの事例がありますので、自社に合わせたAI技術の活用と現場実装することが重要です。
3.設備の課題
●設備の異常を見逃す/突発故障が多い
●設備の稼働状態が現場に行かないと分からない
●設備の操作や清掃、点検が適切に行われていない
●設備周辺の安全確認が不十分
●設備の状態記録・点検履歴が手書きで残されている
これらの設備における課題の場合でも、画像認識AI技術にて改善、解決ができる例があります。
課題3の解決例とは
◎振動・油漏れ・温度上昇・変形などの微細な異常に気づかず、故障が突発的に発生
解決例:カメラで設備を常時監視し、油漏れ・煙・破損・傾き・熱変色などを自動検出
◎離れた場所にある機械の稼働/停止/エラー状態が現場にしか分からない
解決例:操作パネルや積層信号灯(ランプ)をカメラで読み取り、稼働状態を自動認識してシステムと連携
◎マニュアルに従った操作がされていない/定期点検が抜けている。
解決例:作業者の動作をカメラで監視し、正しい手順で作業されているか自動判定(例:点検バルブの開閉確認など)
◎可動部への立ち入りや危険作業が監視しきれない
解決例:危険エリアへの人の侵入や不審動作を自動検出
◎手書きでの記録ミスや改ざんリスク/データ分析不可
解決例:設備のメーターやアナログ表示器(圧力・温度・流量など)を画像で読み取り、自動記録
これらの活用により、既存設備を大きく改造せずに、”後付け”でスマート化できるのも画像認識AIの強みです。
課題への解決には、まずはご相談を
今ある課題の解決には、第三者的な目線や類似課題の解決例などの知見が必須となるでしょう。
まずはご相談いただければ、AI技術が最適か否かも含めお話させていただけます。
AI導入の進め方や検証についてはこちらをご参照ください
AIの活用事例8選!身近な事例や面白い事例、ビジネスでの活用方法も紹介(一般財団法人日本ディープラーニング協会)