YOLOのライセンス完全ガイド|商用利用の注意点

画像認識AIの導入を検討する際、技術的な性能だけでなく「ライセンス」の理解が重要ですは、YOLOシリーズをはじめとする高性能な物体検出AIの多くは、AGPL(GNU Affero General Public License)というオープンソースライセンスを採用しています。

本記事では、YOLOのライセンスの基本的な仕組みと、商用利用を検討する際に確認すべきポイントを解説します。

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YOLOのライセンス変遷

2025年現在、広く使われているYOLOv8YOLOv11は、Ultralytics社によってAGPL-3.0ライセンスで提供されています。過去のバージョン(YOLOv5など)も同様にAGPLまたはGPLが採用されています。

AGPL-3.0の主な特徴

AGPL-3.0は、オープンソースライセンスの中でも「コピーレフト」が強いタイプのライセンスです。以下の特徴があります:

1. ネットワーク経由の利用も対象 従来のGPLライセンスは、ソフトウェアを「配布」した場合にソースコード公開義務が生じるとされていました。AGPLでは、ネットワーク経由でサービスを提供する場合も、ユーザーがソースコードにアクセスできるようにする必要があるとされています。

2. 派生物への適用 AGPLライセンスのコードを使用・改変したプログラムは、同じくAGPLライセンスで提供する必要があるとされています。ただし、どこまでが「派生物」とみなされるかは、統合の方法や利用形態によって異なる可能性があります。

3. 学習済みモデルの扱い YOLOで学習させた独自モデルがAGPLの対象となるかどうかは、法的に議論のある領域です。モデルの重みファイルが「派生物」に該当するかは、専門家の間でも見解が分かれています。

商用利用を検討する際の確認ポイント

AGPLライセンスの解釈は複雑で、企業のリスク許容度によっても対応が異なります。以下のポイントを確認し、最終的には法務部門やオープンソースライセンスに詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

確認すべき3つのポイント

ポイント1:利用形態の確認

  • 社内ツールとして使用するのか
  • 外部にサービスとして提供するのか
  • パッケージ製品に組み込むのか

これらによって、ライセンスの影響範囲が変わる可能性があります。

ポイント2:システム構成の確認

  • YOLOとその他のコードがどのように統合されているか
  • API経由での利用なのか、直接的な組み込みなのか
  • 既存のプロプライエタリコードとの関係性

統合の方法によって、AGPLの影響を受ける範囲が異なる可能性があります。

ポイント3:法務・コンプライアンスの確認 社内の法務部門と早めに相談し、自社のポリシーとAGPLライセンスの要件が合致するか確認しましょう。

YOLOのライセンスが受け入れられない場合の商用利用の選択肢

AGPLライセンスの制約が課題となる場合、以下のような選択肢があります。

選択肢1:エンタープライズライセンスの購入

Ultralytics社は、AGPL制約を受けない商用ライセンスを提供しています。

  • ソースコード公開義務が免除される
  • 商用サポートが受けられる
  • 費用については直接問い合わせが必要

選択肢2:YOLOではない代替ライセンスのモデル採用

AGPL以外のライセンスを採用している物体検出モデルも存在します:

  • DAMO-YOLO(Apache License 2.0)
  • YOLOX(Apache License 2.0)
  • RTDETRv2(Apache License 2.0)

ただし、それぞれ性能特性や学習のしやすさが異なるため、技術的な評価も必要です。

ライセンス選択時の考え方

どの選択肢が最適かは、以下の要素によって異なります:

  • プロジェクトの規模と予算
  • 開発スピードの優先度
  • ソースコード公開のリスク許容度
  • 求められる精度レベル
  • 保守・更新の体制

これらを総合的に検討し、技術面・法務面の両方から判断することが重要です。

OkojoAIのサポート

株式会社OkojoAIでは、博士号を持つメンバーなどが在籍し、画像認識AI分野の専門知識を活かしてお客様のビジネス要件に応じたAI導入支援を行っています。

  • ライセンス面を考慮した技術選定のアドバイス
  • 商用利用可能なライセンスでのカスタムモデル開発
  • 既存システムの技術面での評価

ライセンスの法的解釈については専門家にご相談いただく必要がありますが、技術面でのサポートと一般的なライセンス情報の提供を行います。

ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。