CNNとTransformer:画像認識AIの2大潮流_化学製品製造での応用例を検討
画像認識AIには現在、大きく分けて2つのアプローチがあります。
ひとつは従来から広く活用されているCNN(畳み込みニューラルネットワーク)、もうひとつは近年注目されているTransformerベースのモデルです。
過去のブログ「【疲れない目】画像認識AIが産業がどう変えるか?」 においても簡単に触れていますが、ここでももう少し詳しく、具体例も交えて紹介しておきたいと思います。
両者は画像の解析方法に違いがあり、化学製品製造などの産業応用において、それぞれの利点を活かした使い分けが進んでいます。

CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
CNNは、画像の局所的な特徴(エッジ、パターン、色の変化など)を捉えるのが得意です。具体的には以下のような構成を持ちます:
- 畳み込み層(Convolutional Layer):画像の細部をフィルターで読み取り特徴マップを生成。
- プーリング層(Pooling Layer):情報を圧縮し、ノイズ耐性と計算効率を向上。
- 全結合層(Fully Connected Layer):分類・異常検知などの最終的な判断を実行。
応用例(化学製品製造)
- 表面欠陥検出:ゴム製品の気泡、異物、細かな割れ目などをCNNが高精度に識別。
- 形状検査:パイプやシートの規格外形状をリアルタイムで検出。
- 色や艶の異常検知:製品の外観品質を数値化し、自動で判定。
CNNは構造が比較的単純で高速に推論可能なため、現場のエッジデバイス上でも利用されるケースが多いです。
Transformerベースの画像認識モデル
Transformerはもともと自然言語処理(NLP)の分野で登場したモデルで、BERTやGPTなどが有名です。これを画像処理に応用したものがVision Transformer(ViT)などの画像用Transformerモデルです。
特徴
- 自己注意機構(Self-Attention)によって、画像全体の領域間の関係を同時に考慮できる。
- CNNと異なり、局所ではなくグローバルな文脈を捉える力がある。
- 大量の学習データがある場合、高い精度を発揮する。
応用例(化学製品製造)
- 異常検知の高精度化:ViTは通常見逃される微細な異常を、全体との関係から検出可能。
- 複雑な装置内の状態把握:設備の広範囲なカメラ映像を解析し、複数の兆候を同時に分析。
- 予兆保全:温度・色・形状など複数要素を含む画像を分析し、故障の前兆を検知。
CNNとTransformerの使い分け
特徴 | CNN | Transformer |
得意分野 | 局所的特徴の検出 | 全体的な構造や文脈の把握 |
必要データ量 | 少ないデータでも可 | 多数の学習データが必要 |
計算コスト | 比較的軽量 | 計算リソースを多く消費 |
利用シーン | エッジデバイスやリアルタイム処理 | 高精度・分析重視 |
まとめ
化学製品製造の現場では、CNNとTransformerの併用も増えています。
例えば、CNNで高速なスクリーニングを行い、異常とされた部分をTransformerでさらに詳細に分析するといったハイブリッドな活用が実用段階に入りつつあります。
AIの進化により、画像から得られる情報の深さと信頼性が格段に向上し、製造品質・生産性・安全性の向上に貢献していると言えるでしょう。
化学製品製造現場では、スマートファクトリー化が進むものの、まだまだ課題が多いとのご相談をいただきます。
例えば、「既存のシステムでは対応しきれない」、「一度AI導入してみたものの定着しなかった」、「AI未導入だがどこから手をつけたらよいかわからない」、などのさまざまな課題やお悩みが貴社にもあるでしょう。
まずはご相談をいただくことで、解決の道筋や実現性などのお話ができますので、お気軽にお問い合わせください。
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