隠れた物体も検出可能!最新AI技術で実現する業務効率化事例
2025年注目の画像認識AI技術トレンド
2025年上期は生成AI関連の新技術や手法、導入事例などがニュースとして賑わすことが多いです。ところが実は、物体検出AIをはじめとする画像認識AI技術においても、進化は続いています。これまでは技術的に困難だった、対象の一部が隠れた状態での推論技術をはじめ、高解像度画像の高速超解像技術、さらには既存手法では見抜けない「巧妙なAI生成画像」の検出技術なども登場しています。

従来の物体検出AIの課題とは?隠れた物体検出が困難な理由
既存技術の限界:ConvNetとTransformerベースモデルの問題点
対象物体の一部が隠れると、ConvNetやTransformerベースの従来の識別モデルは識別精度が大幅に低下しがちです。これは主に、隠れた部分の特徴を推測する能力が不足しているためであり、モデルや技術が悪いものではありません。とは言え、一部見えない箇所が発生することがありうるシーンにおいては、画像認識AIの導入を諦める原因のひとつでもありました。
技術解説:拡散モデルによる隠れた物体の検出の実現
画像補完技術を活用した新アプローチ
新たに発表された手法(参考文献参照)では、拡散モデル(例えばStable Diffusion)の画像補完(inpainting)能力を活用した識別モデルを開発しています。「隠れた部分を仮補完できる特徴」を学習モデルに取り込むことで、物体の一部が隠れても安定して動作する識別モデルの構築に成功しました。
技術メカニズム:欠損補完問題としての解決法
この手法では「隠れた部分」を、そのピクセルが「欠落」しているとみなすことで、画像補完問題として捉えます。拡散モデルの補完能力により、障害物の背後にある物体の視覚的特徴を予測することが可能になります。このアプローチにより、物体の一部が隠れている場合でもモデルの識別精度を維持できます。
業界別業務効率化事例:隠れた物体を検出するAIの実用化
物体検出AIが業種やその活用シーン別で役立ちそうな場面例は以下の通りです。
製造業での業務効率化
- 組立部品がケーブルや工具に隠れていても、部品の有無や状態を判定可能
- 製品の一部が他部品や影で隠れていても、欠陥や異常箇所を検出
- パッケージ内に部品が正しく収まっているか、重なりがあっても判定
建設・インフラ業界での安全性向上と効率化
- 重機や作業員が他物や構造物に隠れても、状況把握や安全監視を継続
- 足場や仮設資材に遮られた構造部の欠陥や破損を補完認識
- ヒビや腐食が一部隠れていても、状態を推定し保守対象として反映
小売・商業施設での運営効率化
- 人物が部分的に隠れるケース(隠れたり被写体交差)でも検出を維持
- 商品が前面商品やPOPに隠れていても種類や在庫数を把握
- 人やカートが遮っていても人物の動きや手の動作を分析
医療分野での診断精度向上と効率化
- 部分的に欠損したCT/MRI画像でも病変などの判定を安定化
- X線画像で骨が器具や他組織で部分的に見えないケースでも骨折や腫瘍を補完的に検出
- CT画像で臓器の一部が他組織に隠れていても変化を継続的に可視化
エンタメ・メディア業界での作業効率化
- 他オブジェクトに人物や物体が一部隠れていてもタグ付けや説明が可能
- スポーツ中継において、他選手と重なるシーンでも対象プレイヤーを継続追跡
- 他人物や物によって一部欠損した領域も自然に補完して処理
上記はそれぞれ、あくまで検出の可能性があるものとして記載している例もありますが、環境・条件・求める精度などにより実現可否は異なりますので、まずはご相談いただくことをお勧めします。
隠れた物体を検出するAIのような画像認識AI導入による業務効率化のメリット
人手不足解決と生産性向上
製造業、建設業、小売業など、現在においても人手不足が深刻だというお話をよくお伺いします。また、人手が現時点は充足していても、5年後、10年後にも同じ人員を確保し続けることは難しいことが人口統計上予想されますし、現場における教育、技術承継も多大なる負荷とも言えます。
暗黙知の形式知化による組織力強化
今回ご紹介した物体検出AIのような新たな技術を導入することで、人員の最適化を図れることや、これまで暗黙知となっていた技術や知見を形式知として企業の財産にしていくことは、長期的な事業継続においても大変有意義といえるのではないでしょうか。
AI開発パートナーシップによる導入支援
当社のAI開発パートナーシップでは、理想形をお伺いしてご一緒に解決することや、課題を聞きながら最適な解決策を模索し共同で実現することもできると考えておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
参考文献
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