接着剤の製造におけるAI異常検知〜「ToromiAI」活用シリーズ〜

ToromiAIは、AIカメラによる液体監視AIソリューションです。
接着剤などの液体の粘度、液体の色、濁り、油膜などを高精度に判定し、リアルタイムで異常を検知・通知します。
目視検査の属人化や見逃しを防ぎ、品質向上、生産性向上、環境リスク削減に貢献します。
本ブログでは、どのようなシーン・対象物において、このToromiAIが効果が出るのかを具体的にお伝えしていきます。
【今回の対象】
【検知すること】
【期待できる効果】対象物の状態をリアルタイムで確認・監視することで即時異常検知、製造プロセスの効率化や
不良時のリカバリー早期化
そもそも接着剤はどんなところに使われている?
接着剤は、日常生活のあらゆる場面で使われている重要な素材です。
紙・布・木材・プラスチック・金属などをくっつける用途から、建築・自動車・電子機器・家具・包装・医療用材料に至るまで用途は多岐に渡ります。
特に自動車部品や電子機器では、小さな部品同士の接合やシール性能、耐久性などが製品の機能性や安全性を左右します。
たとえば、風防ガラスの枠、スマホの内部部品、防水構造などでは、接着剤の品質が非常に重要です。
このような用途の多様性があるため、接着剤には「強度」「粘着性」「硬化時間」「耐環境性(温度・湿度・化学薬品への耐性など)」といった性能要件が多数存在します。
そしてそれらを満たすための製造プロセスは、原料調合・混練(ミキシング)・脱泡・硬化前検査などで構成され、多くのステップが精密な制御を必要とします。
接着剤の多様性
接着剤には、ベースとなる材料や製法・形態が非常に多様です。以下はその一例です:
- 材料ベースの違い
- エポキシ系、シリコーン系、アクリル系、ポリウレタン系、ウレタン系などの合成樹脂を基盤にしたもの
- 天然樹脂やバイオベースの接着剤(近年は持続可能性の観点から注目されている)
- 硬化方式の違い
- 化学的硬化(2液混合型など)
- 紫外線硬化型(UV硬化)
- 熱硬化型
- 添加剤の違い
- 増粘剤、塗料・顔料、可塑剤、改質剤、剥がれ防止剤などが混入されることがある
- 形態の違い
- 液体型、ゲル型、フィルム貼付タイプなど
この多様性ゆえ、接着剤の製造における品質管理・検査方法も一律ではなく、製品と用途に応じて異なる検査基準があり、それぞれの工程で求められる制御精度が異なります。
現在の接着剤の製造時の検査方法とその課題
接着剤の製造において、以下のような検査方法が一般的で、しかしながら一定の限界・課題があります。
一般的な検査方法
- 目視検査
混合・攪拌後や脱泡後、タンクやサイトグラス越しに色・透明度・気泡の有無・粒子の分散具合・異物混入などを作業者が目で判断する。 - サンプリング分析
一定量を取り出して実験室で粘度計(またはラフな粘度比測定装置)、分光測定、化学分析、混合度チェックなどを実施。 - 物理的テスト
接着試験(剥離強度やせん断強度など)、硬化速度や耐化学性試験など。 - 異物分析
異物が混入した場合、FT-IR や赤外顕微鏡を用いた成分分析などを実施することがある。たとえば接着剤の中の異物を赤外顕微鏡で 5~10 µm 程度まで分析可能な技術が使われる。
主な課題
- リアルタイム性の欠如
目視とサンプリング分析にはタイムラグがあり、不良が工程を通過してから気づくことが多い。 - 主観性・ばらつき
色の見え方、異物の認識は作業者間で差が出る。混合・分散のムラ、小さな異物・微量の気泡などは人の目では見落としやすい。 - コストと手間
サンプルを取り出す、分析機器を使うには手間・コストがかかる。設備が整っていない工場では検査頻度を下げざるを得ない。 - 材料ロスの発生
異常が進んでしまうと不良品として廃棄や再加工が必要になるため、その分材料が無駄になる。 - 安全・信頼性リスク
異物混入や強度の不足などが製品使用時にクレームや事故に繋がると、ブランド信頼に影響。
これらの課題があるため、「検査精度を上げたい」「リアルタイムで異常を捉えたい」「コストを抑えたい」というニーズが接着剤のメーカーに強く存在しすると考えます。
接着剤の製造時の検査を「ToromiAI」で実施することの有用性
画像認識AI「ToromiAI」を用いて異物混入や粘度変化などをリアルタイムで検知することには、次のような有用性があると考えています。
リアルタイム異常検知による工程制御
AIにより混合比率・攪拌速度・時間などの変動による色・濁り・粒子分散・粘度変化をリアルタイムで監視できます。これにより、「目視で見た時には既に工程が進みすぎていた」という事態を防げます。
異物混入の早期発見と未知異物対応
自動カメラ+画像認識モデルで異物混入を検知でき、さらに異物の種類や形状を学習させれば、未知の異物にもある程度対応可能です。
また、赤外顕微鏡などの手法は高精度な異物分析で役立ちますが、あくまで後処理的。AI検知はライン中での「非破壊・非サンプリング」での検知を可能にします。
粘度変化・混合・分散の評価
動画解析や複数フレームを入力とするAIモデルによって、流体の流れ方・粒子の沈降・発泡状態などから、粘度が高すぎる・低すぎる、混合不足といった問題を推定できます。これにより、混合処理や撹拌工程を最適化でき、時間・エネルギー・混合剤などの使用量を削減できます。
品質の一貫性と顧客信頼の向上
AIによる品質検査は、ばらつきが少なく、標準化された基準で品質を保証できます。外観・強度・接着性などの品質指標で不良を減らせば、リピート率・ブランド評価に好影響を与えます。
コスト削減と材料ロス低減
異常が起こる前に制御を行うことで、廃棄や再加工コストが下がります。混合比率や粘度が最適化されれば、原料の使い過ぎや無駄な加熱・攪拌のエネルギーも低減できます。
非接触・安全性・作業効率の改善
画像認識AIは接着剤に直接触れずに検査できるため、汚染リスク低減や衛生性向上にも寄与します。作業者の負荷を軽減でき、人手不足にも対応できます。
まとめ
接着剤は日用品から高機能素材まで、用途が幅広く、その品質は接着強度・耐久性・見た目・耐環境性など複数の要素から成ります。
材料や硬化方式・添加剤の違いによってプロセスも多様性があり、品質検査の要件も変わってきます。
現在、接着剤の製造工程における色・粘度・異物混入の検査法は、目視やサンプリング分析が中心であり、リアルタイム性・コスト・検査精度・一貫性などの面で課題を抱えています。しかし、「ToromiAI」による画像認識を中心とする異常検知を導入することで、これらの課題を克服する可能性が非常に高くなります。
技術的には、動画解析モデル、時系列解析、異常検知モデルなどを用いることが効果的です。適切なデータ収集・照明条件整備・モデル評価指標の設定が、成功の鍵となります。
総じて、接着剤の製造者にとって、異物混入検査や粘度変化検知を AI で自動化することは、品質の信頼性向上、材料ロスの削減、コストダウン、競争力強化につながる戦略的投資と言えるでしょう。
製造プロセスのデジタル化とスマート化を図る上で、AIによる画像認識課題の克服は避けて通れない道です。
まずはPoC(概念実証)から始められますので、ご相談ください。
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