TBMからCBMへのシフト〜AI活用シリーズ「予兆保全」~
近年、製造業やプラント業界では「故障予知」や「予兆保全」というキーワードが注目を集めています。
これまでの定期的なメンテナンス(TBM: Time Based Maintenance)から、AIを活用して設備の状態をリアルタイムに把握し、必要なときにだけメンテナンスを行う状態基準保全(CBM: Condition Based Maintenance)へと移行する動きが加速しているのです。
本ブログでは、AI技術を活用した故障予知・予兆保全の具体例と、その導入メリットについてわかりやすく整理します。

TBM(時間基準保全)とCBM(状態基準保全)の違い
- TBM(Time Based Maintenance)
定期的に設備を点検・交換する保全方式。劣化や使用頻度に関わらず一定期間ごとにメンテナンスを行うため、計画は立てやすい一方で、実際には不要な部品交換や逆に突発的な故障が発生するリスクがあります。 - CBM(Condition Based Maintenance)
設備に取り付けたセンサーやAIによるデータ解析を通じて、部品の劣化度や異常兆候を検知。実際の状態に応じてメンテナンスを実施するため、無駄な作業を減らしつつ突発故障のリスクも低減します。

AIの進化によって、これまで人間では見逃していた微細な変化を検出できるようになったことで、TBMからCBMへの移行が現実的になってきています。
AIを活用した故障予知・予兆保全の具体例
1. 回転機械の異常検知
製造ラインに多く存在するモーターやポンプ、コンプレッサーは、振動や温度の変化に故障の兆候が現れます。AIはセンサーから収集した膨大な時系列データを解析し、正常時との微妙な差異を学習。これにより、ベアリング摩耗やアンバランスなどの異常を早期に検出できます。
ユースケース例:部品製造
【検知対象】モーターの振動データをAIで解析
【期待できる効果】従来より数週間早く異常を予測。ライン停止のリスクを最小化
2. 画像認識による外観検査と劣化診断
AI画像認識技術を応用すれば、製品の外観検査だけでなく、設備自体の劣化状態も判別可能です。配管の錆びやクラック、塗装の剥離などを高精度に検出し、突発故障の前兆を把握できます。
ユースケース例:化学プラント
【検知対象】定期点検の代わりにドローンと画像認識AIを組み合わせて配管の表面を監視。
【期待できる効果】肉眼では気づけないレベルの劣化を発見し、事故の予防に。
3. IoTセンサー+AIによる予知保全プラットフォーム
製造現場ではIoTセンサーで温度・圧力・振動・音などを収集し、クラウド上でAIが解析する仕組みが普及しています。これにより、単一機械だけでなく工場全体の設備状態を俯瞰的に把握できます。
ユースケース例:大手食品メーカー
【検知対象】冷却設備の温度変化をAIで監視
【期待できる効果】コンプレッサーの故障予兆を事前に検出。製造停止による機会損失削減に。
AIを活用したCBM導入のメリット
1. 突発停止の回避と稼働率向上
AIが異常を事前に予測することで、設備の突発停止を回避。生産ラインの稼働率を高め、納期遅延リスクを減らします。
2. メンテナンスコストの最適化
TBMでは必要以上に部品交換を行っていましたが、CBMでは「必要なときだけ」交換。これにより部品コストや作業工数を大幅に削減できます。
3. 安全性の向上
プラント設備や高圧機械の故障は重大事故につながるリスクがあります。AIによる早期検知は現場の安全性向上に直結します。
4. データ資産の活用と組織知の継承
AIを導入することで、経験豊富なベテラン技術者の「勘」や「暗黙知」をデジタルデータにすることで自社資産として蓄積可能。
人材不足が課題となる製造業において、ノウハウ継承の仕組みづくりにも貢献します。
AI予兆保全における当社の強み
1. 高水準の画像認識技術と経験
日々の技術開発とこれまでのPoC開発・導入知見などから、課題をヒアリングし適切な技術提供や現場運用などをご一緒に考えご提案しております。
詳しくは別ブログをご覧ください。進化する画像認識AI技術で製造業の課題解決をサポート
2. 時系列データ解析にも強い
設備メンテナンスには欠かせない時系列データのAIによる解析も当社の得意分野です。
また、画像化技術を用いて、時系列データを画像化し、異常検知を行う、という手法も実現可能であるため、通常の解析では見つけにくい傾向や変化
などをとらえることも。
詳しくは別ブログをご覧ください。「時系列データを画像化すると見えること」
3. PoC(概念検証)から本導入まで一貫サポート
お客様の課題に応じて、AIモデルを開発またはカスタマイズし、PoC(概念実証)から本導入までを一貫してサポートしております。
必要なステップをご説明しながら、共に課題解決へと進めてまいります。
詳しくは別ブログをご覧ください。【疲れない目】画像認識AIが産業がどう変えるか?
多くの企業においてご興味が高い予兆保全。
「予兆保全とは自社でもできるのか」、「どのような設備であれば予兆保全AIの導入が可能か」、「まずは話を聞いてみたい」、など課題や現状のヒアリングも含めたご相談を承ります。
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