化学製品メーカー向け見極める”目” ~多種多品目検査効率化のすゝめ~

化学業界における人工知能(AI)活用の動向とは

ARTIFICIAL INTELLIGENCE(AI) IN CEMICAL MARKET SIZE AND SHARE ANALYSIS – GROWTH TRENDS AND FORECASTS(2025-2032)
(日本語訳:化学市場における人工知能(AI)の規模とシェア分析-成長傾向と予測(2025-2032))によりますと、人口知能(AI)は、プロセスと発見を改善するために化学業界で広く採用されています。AIは、基礎研究から製造まで、さまざまな方法で科学者を支援しています。

とくに、化学製品メーカーにおける画像認識AIの活用は、品質管理や安全管理、生産性向上に大きく貢献できると言えます。
国内でも製造・利用が多い、ポリエチレン(PE)やポリ塩化ビニル(PVC)について具体例を挙げてみましょう。

多種多品目PE/PVC製品例

ポリエチレン(PE)の製品例

  • プラスチック袋、容器、絶縁材
  • 食品包装、ボトル、ポリ袋
  • 農業用フィルム、水道管、電線被覆、灯油タンク
  • 断熱材、医療用容器、使い捨て手袋    など

ポリ塩化ビニル(PVC)の製品例

  • 硬質PVC:上下水道管、電線管、建築資材(波板、窓枠など)、文具など
  • 軟質PVC:床材、壁紙、合成皮革、農業用シート、電線被覆、医療用バッグやチューブなど

家庭やオフィス、電気・水道などのインフラや建築、さらに医療用にも加工され幅広く利用されています。

PE/PVC製品の製造におけるAI活用例

品質管理や安全管理、生産性向上などにおいて、AIの活用例を具体的にご紹介します。

women worker in drink factory work at production line with hygiene uniform focus at work
  1. 外観検査の自動化(異物・欠陥の検出)
    用途例:樹脂ペレット、粉末、フィルム、液体容器などの表面における異物混入、傷、変色などを検出

   効果 :目視検査の判定ばらつきや作業負荷を削減し、不良品の流出を防止。

  1. 反応槽・配管の異常検知(腐食・漏れの早期発見)
    用途例:高温・高圧の環境下で使用される装置の表面画像から、サビ・腐食・亀裂・漏れなど自動検知

効果 :人的リスクを低減しながら、保全の精度と効率を高め、プラントの安全性を向上。

  1. ラベル・包装の正誤判定
    用途例:危険物表示(GHSラベル)、製品名、ロット番号などの印字ミスや貼付ミスをリアルタイムで検出

効果 :誤出荷・トレーサビリティ不備のリスクを軽減

  1. 作業者の安全装備チェック
    用途例:構内カメラで作業者のヘルメット・防護具・制服の着用状況を自動認識し、未着用時にアラート。

効果 :作業安全の徹底と事故の未然防止

  1. 製品色・形状の一貫性チェック
    用途例:塗料や樹脂製品の色ムラや形状ズレを画像で検出し、製造条件の変動を早期に察知。

効果 :製品の品質安定性を維持し、ロス削減に貢献。

当てはめていただきやすい活用例を挙げておりますが、貴社での導入としては、どのあたりから始めるのがよさそうでしょうか。

現在、もっとも課題としている点や製品に合わせて、必要な導入を検討することをお勧めします。

AI活用例のROIを考えてみると

AIの導入・活用に踏み切るかの1つの指標がROI(Return On Investment・投資利益率)になります。

ROI = (利益 ÷ 投資額) × 100 (%)

例えば、外観検査の自動化(異物・欠陥の検出)で考えてみます。

項目実情備考
現状目視検査員【X】名× 年間人件費【A】
導入後(初期費用)AI開発+カメラ・照明など各種初期費用【B】
導入後(保守)検査員【Y】名+AI運用・保守× 年間人件費【A】、保守費用【C】
不良品流出率目視検査:6.0% → AI導入後:2.0%※流出率は仮
不良対応コスト年間出荷10万品目 × 4.0%改善× 1件5,000円(仮) = 2000万円削減
仮に、現状目視検査員【X】が4名の場合に、AIを導入することで検査員【Y】が1名で適正となれば、人件費単価【A】が500万円の場合には合計1500万円のコスト削減となります。AI開発や画像認識のためのカメラ・照明・治具などの初期費用【B】と年間保守費用【C】を合わせても、不良品流出率を改善できることにより、不良品対応コストが削減できるため、ROIが期待できます。

{(1500万円+人件費1500万円削減)−(初期【B】+保守費【C】万円) }÷ 2000万円 x 100(%)= XXX.X %

また、目視に頼らなくなることで、検査の稼働時間を増やすことや、対象品目を増やすことも可能であるため、より生産効率の向上を図ることもできるかもしれません。

ご相談はお気軽に

上記の活用例はあくまで一部ですので、貴社特有の課題や活用したい例などありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

人の目に代わり、より高精度で判定のばらつきが少なく、疲れない検査体制を構築するご支援をさせていただきます。

参考文献

ARTIFICIAL INTELLIGENCE(AI) IN CEMICAL MARKET SIZE AND SHARE ANALYSIS – GROWTH TRENDS AND FORECASTS(2025-2032)